黒子地区
農地集積とほ場の大区画化による経営強化
整備前
基盤整備前の状況
道路が狭く狭小な水田では,農作業に多大な労力を要し,更に慢性的な用水不足と排水不良に悩まされていた。
基盤整備
農地の大区画化による労働力の削減など生産性の高い大規模経営を展開
安定した用水供給を可能とした調整池と機場
整備されたほ場で栽培される大豆と水稲
区画整理や用排水の整備により,慢性的な用水不足と排水不良が解消され,計画的な営農が可能となった。さらに,大区画化等により大型機械の導入も可能となり,労力の軽減が図られ,担い手の経営規模が拡大した。
生産現場
汎用化・大区画化による新たな作物の導入
●大区画化や汎用化により,大型機械の導入が可能となり,水稲の他,麦,大豆,冬ネギの作付けが増加
加工・流通
担い手法人による規模拡大を通した取組
●経営の大規模化により,出荷量が拡大したことで,大手商社との複数年契約栽培に繋がる。
●出荷量の増加に伴い,新たに大型乾燥施設を造設
担い手
中間管理機構を活用した担い手への農地集積
●基盤整備を契機に担い手への農地
集積が大幅に進展基盤整備を契機に担い手への農地集積が大幅に進展
●農地集積率
事業前12% → 事業後77%(予定)
●大区画化率
事業前 0% → 事業後50%(予定)
生産コスト削減や営農体系の確立による法人の 売上額の増加
出典:地区内法人からの聞き取り
●地区内の農業法人が基盤整備を契機に規模の拡大を進め,水稲,小麦,大豆,及び冬ネギによる営農体系を確立することで法人の販売額は増加。
工夫のポイント
●基盤整備を契機に農地中間管理機構を活用し,担い手への農地集積を大幅に進める。
●基盤整備を契機に地区の約半分を1ha以上の大区画化に取り組み コスト縮減を図る。
●基盤整備を契機にした担い手の大規模経営化
●位置 :茨城県筑西市 ●地区面積:214ha ●主要作物:水稲
●主な支援施策:国営鬼怒川南部農業水利事業(S40~S50) 多面的機能支払交付金(H26~)
利根北部地区
米の生産コストの低減
整備前
整備前の様子
ほ場は10aの小区画もしくは未整備で,地区内の農道は幅員が狭く,用排水施設は土づくりが多く,営農に多大な労力を費やしていた。
基盤整備
農地の大区画化による農地集積の推進
整備前の様子
区画形状を大区画化し,支線道路,排水路,パイプラインを計画的に配置し,経営体への農地集積を急速に図る。
生産現場
大区画化による大型機械・低コスト技術の導入
●農地の大区画化による,大型機械の走行や営農管理の省力化,加工用米の生産面積の増加により生産性が向上
担い手
中間管理機構を活用した担い手への農地集積
●基盤整備を契機に担い手への農地集積が大幅に進展し,
耕作意欲の向上を促し担い手が増加
●農地集積率 事業前 3.8 % → 事業後72.4 %
●大区画化率 事業前 0.0 % → 事業後19.0 %
地区内大規模担い手農家の売上額の推移
(出展:地区内担い手農家からの聞き取り)
生産コスト削減による効率的な営農と新たな販売拡大による米販売額の増加
●農地の大区画化により営農管理の省力化が進み生産コストが削減されたと同時に,新たに加工用米の生産を行ったことにより,生産農家の米販売額は増加。
工夫のポイント
●農地の大区画化・汎用化により,担い手への農地の集約化と規模拡大を促し,農地中間管理機構と連携して集積を促進する。
●生産効率の向上により生じた余剰労力を活用し,新たな販売拡大として新商品の開発・ブランド化の加速化を図る。
●位置:茨城県北相馬郡利根町 茨城県龍ケ崎市 ●地区面積:157ha ●主要作物:水稲 ●主な支援施策:高度化支援事業
西総地区・鵠戸沼地区
水田の畑地化・汎用化による高収益作物の栽培
整備前
水田整備を実施してから30年程度経過している地区であり,排水不良に悩まされており,水稲以外の作物が栽培できない状況
基盤整備
区画整理済みの水田地域において生産基盤の再整備を行い, 畑地化・汎用化を図ることで高収益作物を導入
汎用化されたほ場で栽培されるレタス
水稲作付状況
●末端排水施設の整備により,区画の整った条件の良いほ場において高収益作物の導入が可能となり,周辺の野菜農家への農地の貸借が進み,農地の効率利用が図られた。
生産現場
畑地化・汎用化による新たな作物の導入
●水田の畑地化・汎用化により,水稲作の裏作として,ネギ,レタス等の高収益作物の作付が増加。
体制・人材
土地改良区が農地の貸借マッチング
●土地改良区の積極的な働きかけにより,農地の貸借がスムーズに行われており,農地中間管理事業を活用した集積を進めている。
担い手
流動的な貸し借りによる農地集積を実施
●水稲栽培は大規模普通作農家が担い,野菜栽培は野菜農家が担う形で,流動的な貸し借りにより,各担い手が規模拡大を実現。
簡易な整備で高収益作物の導入が可能となり農地の効率利用が図られた
●整備実施後の圃場でレタス・ネギの生育が好調であり,今後さらに作付が増加する見込み
地区内ほ場の作付体系の変化
末端排水施設の整備による高収益作物の導入状況
工夫のポイント
●水田の畑地化・汎用化で,裏作として高収益作物を栽培することで,農地の効率利用を図る
●水田周辺の小規模なネギ,レタス農家の規模拡大,経営安定
●流動的な貸し借りによる農地集積を実施
●位置:茨城県坂東市・境町 ●地区面積 西総地区 :363ha 鵠戸沼地区:597ha ●主要作物:水稲,レタス,ネギ ●主な支援施策:ほ場整備事業西総地区【県営】(S46~S57) 鵠戸沼地区【県営】(S55~H6) 農業基盤整備促進事業【団体営】(H24~H29) 耕作条件改善事業【団体営】(H29~H31) 水田畑地化整備事業【県単】(H30)
守谷地区
遊休農地を解消し担い手へ農地集積
整備前
遊休農地の状況
排水不良の水田
●昭和40年代に第一次構造改善事業により整備
●施設の老朽化により,水管理や水路の維持管理に多大な労力
●地下水位が高いため,乾田化にも支障を来し,遊休農地が増大
基盤整備
2つの事業を組み合わせたことによる遊休農地の解消
客土工により耕土厚を確保し農地を復元
暗渠排水による乾田化で作業効率が向上
●多面的機能支払交付金を活用し,
遊休農地の草木を刈取, ゴミ等を除去
●経営体育成基盤整備事業により,
客土工や暗渠排水の整備
●地下水の水位が低下し,農地の耕作条件が改善
●土地の借り手が見つかり,遊休農地が解消
生産現場
遊休農地の解消による 作付面積の回復
●遊休農地が増大
●多面的機能支払交付金の活用
●基盤整備事業により耕作条件を改善
●遊休農地を解消
●作付面積の2割が回復
担い手
担い手農家への農地集積
●耕作条件の改善により,農地集積 が進展
●担い手農家数 ・ 農地集積率
事業実施前 : 2名 ・ 2.5%
⇒H29現在 : 5名 ・ 32.2%
遊休農地の解消による作物の 生産量の増加に伴う収益の向上
地元への聞き取り結果
●遊休農地が整備されたことで地区内の担い手農家が増加
●作物の生産量が増加し,約2割収益が向上
工夫のポイント
●基盤整備事業を契機に遊休農地を優良農地に回復し,担い手に貸付。
●多面的機能支払交付金を活用し,遊休農地の草木を刈取
●経営体育成基盤整備事業を活用し,暗渠排水や客土により,耕作条件を改善
●位置:茨城県守谷市・取手市 ●地区面積 67.7ha ●主要作物:水稲 ●主な支援施策:第一次構造改善事業(S41~S45) 経営体育成基盤整備事業(H22~) 多面的機能支払交付金(H26~)
高萩地区
中間管理事業を活用した農地集積と現場試験による飼料用米の増収
整備前
整備前の様子
段差が多く小区画で散在していたほ場では,大型機械での耕作に不適であり,用排水施設の老朽化によって漏水や土砂の滞留等,維持管理に労力を要していた。
基盤整備
農地の集団化による労働力の軽減など農業の生産性を高め農家経営の安定化
整備されたほ場の様子
用排兼用の土水路から変更された排水路
●区画整理やため池改修,用排水路の整備により,用水不足の解消,維持管理労力の軽減,さらに,大区画化,農道整備による大型機械の導入が可能になり,農業生産性の向上を目指す。
生産現場
プロジェクトチームによる実証ほ場での取組
流し込み施肥装置
●流し込み施肥装置による施肥
●土壌診断による施肥
●生育診断による栽培管理
●レーザーレベラーによるほ場の均平化(予定 )
地区内の圃場を利用し,県北地域重点推進プロジェクトチームによって,飼料用米の目標収量630kg/10aを達成するための取組を支援している。
担い手
担い手への農地集積
農地中間管理事業によって,担い手に6割以上農地を集積しました。
地区内ほ場における飼料用米収量性改善の効果
所得についてH27からH29まで年々増加
H29県北地域重点推進プロジェクト
(飼料米等生産支援チーム調べ)
基盤整備,農地集積による農作業の効率化,補助事業等を活用した取り組み,によって作付面積及び単位面積当たりの収量が増加した。
工夫のポイント
●基盤整備を契機に,農地集積を進め,農業生産性の向上を図った
● 飼料用米導入のための交付金等の支援施策を活用した栽培支援
● 県北農林事務所県北地域重点推進プロジェクトチームによる取組支援
●位置 :茨城県高萩市 ●地区面積:39.0ha ●地区傾斜:平均1/65 ●主な支援施策:水田活用直接支払交付金 産地交付金 米の直接支払い交付(主食用水稲)